腎盂・尿管がんは、腎臓と膀胱をつなぐ尿管、または腎臓の内部にある腎盂に発生する悪性腫瘍です。腎盂・尿管がんは通常、初期には自覚症状が少なく、進行するまで発見されないことが多いです。しかし、早期発見と適切な治療によって治癒の可能性が高くなるため、定期的な健康診断が重要です。

腎盂・尿管がんの発症は複数の要因によって引き起こされる可能性があります。
喫煙は腎盂・尿管がんの最も重要な危険因子の一つです。
タバコに含まれる有害物質が尿路に蓄積され、尿管や腎盂の細胞を傷つけ、発がんを促すと考えられています。喫煙者は非喫煙者に比べて腎盂・尿管がんを発症するリスクが約2倍高いとされています。(タバコだけでなく非加熱式たばこもリスクを高めると考えられています。)
化学物質への長期間の接触も腎盂・尿管がんの原因となることがあります。
特に、アスベストやベンゼン、芳香族アミン類などの発がん性物質が含まれる化学薬品に従事している職業の人々は、リスクが高いとされています。これらの物質が尿路の細胞にダメージを与え、がんを引き起こす可能性があります。
遺伝的な要因も腎盂・尿管がんのリスクを高める可能性があります。腎盂・尿管がんを発症した家族がいる場合、遺伝的にそのリスクが高まることがあります。特に、がんを引き起こす遺伝子の変異が関与している場合があります。
生活習慣も腎盂・尿管がんの発症に影響を与えることがあります。過度な飲酒や肥満、不健康な食事などがリスクを高める要因として挙げられます。また、十分な水分摂取を行わないことも、尿管や腎盂に石ができやすくなり、これががんの引き金となることがあります。
腎盂・尿管がんは、初期には明確な症状が現れにくいため、進行するまで気づかないことがあります。
しかし、以下のような症状が現れた場合は、早めに当院までご相談ください。
血尿は腎盂・尿管がんの最も一般的な症状の一つです。初期には目に見えない微量の血尿があることもありますが、進行すると目に見える血尿が現れ、レバーのような血の塊が出現することもあります。血尿が続く場合は、尿路に異常があるサインかもしれません。
腎盂・尿管がんが進行すると、腰や腹部に鈍い痛みや違和感を感じることがあります。この痛みはがんが腎臓や尿管の組織に広がることや腎臓が腫れて水腎症を引き起こすことによって出現します。違和感や痛みが長期間続く場合は、注意が必要です。
頻尿は、腎盂・尿管がんが進行して膀胱や尿管に影響を及ぼすことによって現れることがあります。尿の回数が増えると感じる場合は、尿路に異常がある可能性があります。また、夜間に何度もトイレに行くようになった場合も注意が必要です。
腎盂・尿管がんの治療方針を決めるには、がんがどの段階にあるかをしっかり把握することが大切です。
そのため、がんの進行具合を示す病期(ステージ)を確認します。
病期は、がんの大きさや周りの組織への広がり、リンパ節や他の臓器に転移しているかどうかで決まります。
ステージ0
がんが腎盂や尿管の上皮に留まっており、周囲の組織には浸潤していない状態です。
この段階では、治療後の回復が比較的良好な場合が多いです。
ステージ1
がんが腎盂や尿管の粘膜下層まで浸潤しているが、筋層までの浸潤はありません。
手術での摘出が一般的な治療方法です。
ステージ2
がんが腎盂や尿管の筋層まで浸潤しているが、筋層を貫いていない状態です。
治療には手術に加え、化学療法が含まれることがあります。
ステージ3
がんが腎実質や尿管周囲の脂肪組織に浸潤している状態です。
治療には外科手術、手術前後の化学療法が必要となります。
ステージ4
がんが周囲臓器への浸潤もしくは、遠隔転移を起こしている状態です。この段階では、抗がん剤による化学療法や最近では免疫チェック阻害薬などの治療と併用して緩和医療が平行して行われることが多いです。
▶病期を把握することにより、どの治療方法が最適かを決定するための重要な指標となります。
腎盂・尿管がんの診断には、いくつかの検査を行い、がんの有無や進行具合を確認します。
当院では、患者様の負担を最小限に抑えることを考えた検査を実施しています。
尿検査は、腎盂・尿管がんの最初のスクリーニング検査として行います。尿中に血液が混じっているかどうかを調べることで、がんが進行していないかを確認します。血尿は、腎盂・尿管がんの重要な兆候の一つであり、早期に発見するために非常に重要な検査です。目に見えない微量の血尿も発見できるため、定期的に行うことが推奨されます。

超音波検査は、腎臓や尿管の状態を非侵襲的に確認できる簡便な検査です。痛みがなく、検査後すぐに結果がわかるため、患者様への負担が少ない方法です。この検査で腎盂や尿管に異常があるかどうかを確認し、必要に応じてさらに詳細な検査へ進むかを決定します。腫瘍の早期発見に役立つことが多い検査です。

膀胱鏡検査は、尿道から膀胱や尿管の状態を直接観察するための検査です。腎盂尿管がんは膀胱に転移していることが多く転移の確認のために行います。当院では、痛みの少ない軟性膀胱鏡を使用しています。
腎盂・尿管がんの診断には、より詳細な画像診断が必要となります。そのため、当院では提携病院でのCTスキャンやMRI検査をご案内しています。

当院で検査を行い、腎盂・尿管がんが見つかった場合、速やかに治療が可能な病院をご紹介いたします。その後、患者様が治療を終えた際には、再紹介を受けて当院での診察やフォローアップを行い、引き続きサポートをさせていただきます。患者様が安心して治療を受けられるよう、治療の経過をしっかりと見守り、適切なアフターケアを提供いたします。
腎盂・尿管がんは生活習慣や周囲の環境要因が大きく影響する病気です。
予防策を実践することで、がんのリスクを減らすことができます。
禁煙は腎盂・尿管がんの予防において最も効果的な方法です。タバコに含まれる有害物質が尿路にダメージを与え、がんのリスクを高めます。喫煙を続けることで、腎盂・尿管がんを発症する可能性が大きく増加しますが、禁煙することでこのリスクを大幅に減らすことができます。

腎盂・尿管がんを予防するためには、バランスの取れた食生活が重要です。特に、野菜や果物を多く摂り、脂肪分や加工食品を控えることが推奨されます。健康的な食生活を維持することで、がんのリスクを減らすことができます。尿路の健康を保つために、十分な水分摂取も大切です。

定期的な運動は、腎盂・尿管がんの予防に非常に効果的です。運動を習慣化することで、免疫力が向上し、体重の管理ができます。ウォーキングや軽いジョギング、ヨガなど、無理なく続けられる運動を取り入れることが大切です。運動を日常生活に組み込むことで、がんのリスクを減らすことができます。

腎盂・尿管がんは早期に発見することで、治療の効果が高くなります。定期的な健康診断を受け、尿検査や超音波検査を行うことで、異常を早期に発見することが可能です。
