健康診断や受診の際に「尿細胞診を受けましょう」と言われたり、結果に「疑陽性」「クラス3」と書かれていたりすると、がんなのではと不安になる方は少なくありません。尿細胞診は、尿の通り道にできるがんの手がかりを探す検査ですが、異常と判定されてもすぐにがんと決まるわけではありません。
今回は、尿細胞診で何が分かるのか、結果の見方、異常と言われたときに考えられる背景と次に行う検査を詳しく解説します。
尿細胞診とはどんな検査?
尿細胞診は、尿の中に含まれる細胞を顕微鏡で観察し、がん細胞や、がんが疑われる形の細胞がないかを調べる検査です。腎臓から尿管、膀胱、尿道までの尿の通り道(尿路)の内側は、尿路上皮という粘膜で覆われています。この粘膜の細胞は少しずつはがれて尿に混ざるため、尿を調べることで粘膜の状態を間接的に確認できます。
主な対象は、膀胱がんや、腎臓の中の尿がたまる部分(腎盂)・尿管にできるがん(腎盂・尿管がん)といった尿路のがんです。検査は採尿するだけなので体への負担や痛みはなく、繰り返し受けやすいことも特徴の1つといえます。
尿細胞診を勧められるのはどんなとき?
尿細胞診は、尿路のがんの可能性を確認したい場面で行われます。とくに次のようなケースで勧められることが多い検査です。
- 健康診断の尿検査で尿潜血を指摘された
- 目で見て分かる赤い尿や茶色い尿が出た
- 超音波やCTで膀胱や腎臓に気になる影が見つかった
- 喫煙歴がある、または化学物質を扱う仕事をしていた
- 膀胱がんなどの治療後で、再発がないか経過を見ている
膀胱がんは、喫煙が最大のリスク因子とされ、高齢の男性に多い傾向があります。初期にはほかの症状がほとんどなく、尿に血が混じったり止まったりを繰り返すことがあります。
尿細胞診の結果の見方(クラス分類と判定)
尿細胞診の結果は、検査機関や医療機関によって表記が異なりますが、日本では細胞の異常の程度をクラス1〜5の5段階で表す方法が広く使われてきました。最近では、国際的な判定基準(パリシステム)に基づいて「陰性」「異形上皮細胞」「低異形度上皮細胞」「高異形度尿路上皮癌疑い」「高異形度尿路上皮癌」などのカテゴリーで分類されることもあるようです。
陰性(クラス1・2)
がん細胞や、がんを疑う細胞は見つからなかったという判定です。クラス2は、炎症などで細胞に軽い変化があるものの、がんを疑う所見ではない状態を指します。
疑陽性(クラス3)
がんかどうか判断がつかない、少し形の変わった細胞が見られた状態です。炎症や結石などの良性の変化でもこの判定になることがあり、がんの可能性を否定しきれないため、膀胱鏡などで詳しく調べたり、時期をあけて再検査したりします。
陽性(クラス4・5)
がんが強く疑われる、またはがん細胞と考えられる細胞が見つかった状態です。どこにがんがあるのかを確かめるため、膀胱鏡や画像検査による精密検査を早めに進めます。結果の用紙にどの表記で書かれているかは、医療機関によってまちまちです。お手元の結果を受診時にお持ちいただければ、内容を確認したうえでご説明します。
尿細胞診で異常と言われたら「がん」なのか?
尿細胞診で疑陽性や陽性と言われても、それだけでがんと決まるわけではありません。尿の中の細胞は、がん以外の理由でも形が変わることがあるためです。異常と判定される背景には、次のようなものがあります。
膀胱炎などの炎症や感染
膀胱炎や尿路の感染で粘膜に炎症が起きていると、細胞が変化して異常と判定されることがあります。炎症が治まってから再検査すると、陰性になるケースも見られます。
尿路結石
腎臓や尿管、膀胱の結石が粘膜をこすると、はがれた細胞の形が変わり、がん細胞と見分けにくくなる場合があります。
検査や治療の影響
カテーテルの使用や膀胱鏡などの処置の後、放射線治療や一部の抗がん剤による治療の後には、細胞に変化が出やすくなります。こうした経過がある場合は、受診時にお伝えください。
尿路のがん
もちろん、膀胱がんや腎盂・尿管がんなどが原因のこともあります。とくに陽性(クラス4・5)の場合は、がんが見つかる割合が高くなるため、精密検査を先延ばしにしないことが欠かせません。
尿細胞診が陰性なら安心してよい?
尿細胞診が陰性であっても、尿路のがんが完全に否定できるわけではありません。悪性度の低いがんや小さながんでは、がん細胞が尿の中に出てこず陰性になることがあるためです。
そのため、結果だけで判断せず、症状や尿潜血の有無、喫煙歴などを合わせて総合的に評価します。陰性であっても、目で見て分かる血尿が出た場合や尿潜血を繰り返し指摘される場合は、自己判断で受診をやめず、超音波検査や膀胱鏡でしっかり確認することが大切です。
尿細胞診で異常があったときに当院で行う検査
尿細胞診で疑陽性や陽性と判定された場合は、がんがあるかどうか、あるならどこにあるのかを確かめる検査に進みます。当院では、主に次の検査で確認します。
膀胱鏡検査(痛みの少ない軟性鏡による検査)
尿道から細いカメラを入れ、膀胱の内側を直接観察する検査です。尿細胞診では分からない、がんの有無や場所、大きさを確認できます。使用するのは、従来の硬い鏡よりも痛みを抑えやすい、やわらかい軟性鏡です。プライバシーに配慮した検査スペースで行いますので、女性の患者様も落ち着いて受けていただけます。
超音波検査
おなかの上から機器を当て、膀胱や腎臓の状態を画像で確認します。痛みはなく、膀胱の中の腫瘍や腎臓の異常の有無を調べるのに役立つ検査です。
連携病院でのCT・MRI検査
腎盂や尿管など、膀胱鏡では直接確認できない奥の部位を詳しく調べる必要がある場合は、連携している基幹病院・総合病院でのCTやMRI検査をご案内いたします。当院で必要な事前診察を行い、スムーズに精密検査を受けていただけるよう手配いたします。また、手術などの高度な治療が必要と判断された場合も連携病院へ速やかにご紹介し、治療後の定期的な経過観察やお薬の処方は引き続き当院でサポートいたします。
尿細胞診の注意点と費用
がん細胞などの異常な細胞は、毎回の尿の中に必ず出てくるとは限りません。そのため、1回の検査だけでは判断がつかない場合があり、精度を高めるために日を変えて複数回提出していただくことがあります。
なお、医師が必要と判断して行う尿細胞診には健康保険が適用されます。費用は自己負担割合や同時に行う検査の内容によって異なります。
よくある質問
尿細胞診は痛い検査ですか?
尿を採って提出するだけなので、痛みはありません。異常があった場合に行う膀胱鏡検査も、当院では軟性鏡を使い、できるだけ負担を抑えて行っています。
クラス3と言われましたが、放っておいても大丈夫ですか?
クラス3は良性の変化でも出ることがありますが、がんの可能性を否定しきれない判定です。自己判断で様子を見るのではなく、膀胱鏡や再検査で確認することをおすすめします。
女性でも尿細胞診を受けることはありますか?
あります。膀胱がんは男性に多い病気ですが、女性でも尿潜血や血尿をきっかけに検査を勧められることがあります。検査の際はプライバシーに配慮した環境をご用意しています。
健診で尿潜血を指摘されただけでも受けたほうがよいですか?
年齢や喫煙歴、再検査でも尿潜血が続くかどうかなどを踏まえて、必要性を判断します。健診結果をお持ちいただくと、ほかの項目も合わせて確認できます。
山形で尿細胞診の結果が気になる方はかわぞえ嶋北泌尿器科内科クリニックへ
尿細胞診は、体への負担なく尿路のがん(膀胱がんなど)の兆候を調べられる検査です。判定が「陽性」であっても直ちにがんと確定するわけではありません。また、「陰性」でも症状が続く場合は、超音波や膀胱鏡検査で詳しく調べることで早期発見につながります。
当院では、日本泌尿器科学会認定専門医である院長が、検査結果の丁寧な説明から痛みに配慮した「軟性膀胱鏡」や超音波による精密検査まで一貫して対応いたします。高度な治療が必要と判断された場合も、地域の連携病院へ速やかにご紹介できる体制を整えています。
他院での健診結果をお持ちの方や、結果についてご不安がある方もどうぞ気軽にご相談ください。24時間WEB予約も受け付けております。
尿細胞診の結果が気になる方は、山形市にある泌尿器科「かわぞえ嶋北泌尿器科内科クリニック」までお気軽にご相談ください。
TEL:023-665-1660